SOTOのST-310でCB缶冷却対策。他社パワーインクリーザー流用!

SOTO ST-310+キャプテンスタッグ パワーインクリーザー
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キャプテンスタッグ製のパワーインクリーザーを使って、ノーマルのCB缶でSOTOのST-310が初春や晩秋だけではなく、真冬(但し、関西の温暖な地域)でも使えるのかを検証してみました。実際に行った検証結果を、データーを含めて、当ブログ上で詳細にレポートさせていただきたいと思います。

 

SOTOのST-310を寒空の下で使うために…

独身時代の私Y(夫)は、イワタニ・プリムスのツーバーナーコンロやコールマンのガソリン式などを、用途に合わせ使い分けていました。

時には、真冬のゲレンデでMSRのウィスパーライトを使い、おでんを温めて食べたりもしました。

しかし、インドア派のK(妻)と結婚してからはキャンプとは無縁の生活が長く続きました。

その間に、愛用のキャンプ道具は処分や紛失… そして、譲渡!

結果的に、BBQ用のコンロ・鍋類や食器類の一部を除き殆ど残っていませんでした。

しかし、2013年に家族旅行でログハウスに泊まってしまい、そこでアウトドア熱が再過熱…(笑

なので、少しずつK(妻)の顔色を伺いながらアウトドアグッズを買い足している次第です。

残念ながら、K(妻)はテント泊に抵抗があるらしく毎回バンガロー泊ばかりですが、いつかは冬の夜空をテントから…と夢見ているY(夫)です。

そして、今月は連休に行くキャンプ(バンガロー泊ですが)で、調理用ストーブの低温によるCB缶(カセットボンベ)のガス圧低下を極力防ぐために、何らかの対策をしなければなりません。

※ CB缶=カセットボンベの略、以下CB缶と記載。

勿論、寒冷地でもある程度は使用可能なプロパン混入のCB缶の存在も知っていますが、今回は一般に売られている家庭用の安価なCB缶が使えることを前提に考えていますので、以下のような条件を設定しました。

 

私がCB缶の低温対策をする上で必須とした条件

  • 取り付け取り外しが可能であること
  • バーナー(ストーブ)側への加工は極力しないで済むこと
  • 使用の際に効果が確認できること

そして、色々悩んだ結果、今回はコレを購入ました。

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キャプテンスタッグ製のパワーインクリーザー

このパワーインクリーザー、簡単に言うと「ガスが燃焼する際に発生した熱を、バーナー部に設けた導体(ヒートパイプ)によりボンベに熱を伝えてボンベを暖めましょう…」って物です。

まぁ、簡単に言うと「カセットボンベを暖める缶用の暖房機」みたいなもんです!

では、早速開封して実際に見てみましょう。

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上の写真が、キャプテンスタッグ製の「パワーインクリーザーCB-250カセットボンベツーバーナー用」です。

 

購入したパワーインクリーザーを何に使うのか!?

すみません。

私、キャプテンスタッグ社のツーバーナー持ってません!

 

え?

じゃあ、何に使うんでしょう?…

 

コレに使います。

新富士バーナー社製の「ソト(SOTO) レギュレーターストーブ ST-310」。

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SOTOのST-310、本体にマイクロレギュレーター内蔵なのである程度の寒さでも使えるのですが、私の使用状況では、11月初旬位から5月初旬にかけてCB缶のガスが気化し辛いので、ノーマルガスだとどうしても火力の低下が起こります。

このST-310は、本体にマイクロレギュレーターを内蔵していますが、そもそもレギュレーターはガス圧を一定に保つ機能なので、レギュレーターの制御範囲内で火力を安定させる機能であり、一定の温度以下(CB缶内の液化ガスが気化できる環境以下)でCB缶のガス圧を高めてくれる機能ではありません。

つまり、レギュレーターによって、CB缶の内圧に関係なくガスの吐出圧が一定に保たれるだけであり、CB缶の内圧がレギュレーターの制御以下に至ってしまった場合は、ガスの吐出圧制御はされず、結果的に火力の低下が起こるという訳です。

正確には、ST-310にレギュレーターが付いているから「寒さに強い」ではなく、レギュレーターの制御範囲内で「火力が安定して使える」機能であり、一般のCB缶を使用した場合、CB缶の温度が氷点下に下がる環境下では、レギュレーターの有無に関係なく使えないと考えるべきだと思います。

 

しかし、冬場の北風が吹き荒む中、防波堤に釣りに行った時やキャンプでは暖かい物が欲しくなりますが、そんな時に限って普通のCB缶だと中々お湯が沸かずに温かい食事が食べられなかったり、温かいコーヒーが飲めなかったりと苦労します。

低温環境下でもお湯が沸かないのは大変困りますので、対策として、ホームセンター等で売っている“ロウ付け用のCB缶(液化プロパン混入)”を使ってました。

この“ロウ付け用のガス”には液化プロパンが混入されているので、液化ガスの気化温度(沸点)が低く、また、高カロリー燃焼で低温環境では本当に優れ物なのですが、入手し辛いのが一番の問題で、出かける直前にガス購入忘れに気が付いても購入出来ない事が多いんです。

しかも、ロウ付け用のCB缶は一般的なお安いCB缶と比べ、価格も3倍近い価格で割高になってしまいます。

そ こで、100均や近所のスーパーでも売っている一般的な(お安い)CB缶が使えないかと色々調べると、イワタニ(Iwatani)社の“カセットガス ジュニアバーナー”で、このパワーインクリーザーを流用している事例をWebで見つけ、それなら我が家の「ソト(SOTO) レギュレーターストーブ ST-310」でもイケるんじゃないかと考えたのですが、Webで「ST-310パワーインクリーザー」の使用例は探しても見当たりませんでした。
※ 現在は「ST-310パワーインクリーザー」の使用例で記事を上げている方がいらっしゃる様です。

ならば、人柱になる覚悟で…「ええぃ、買ってまぇ~」と、後先考えずにAmazonでポチッと購入してしまいました!

 

パワーインクリーザーをST-310へ取り付け

待つこと数日、Amazon からパワーインクリーザーが我が家にもやって来ました!

それでは、早速、取り付けてみましょう。

ある程度は加工する覚悟をしていたのですが、拍子抜けするほどアッサリと、しかも簡単にST-310へ取り付け出来てしまいました。

実際、少々難はありますが、写真で見る限りは意外にピッタリと決まってますね。

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本当に、ポン付けで取り付いてしまいましたよ(笑

 

SOTOST-310へ取り付けに当たっては問題点が無いのか?

ST-310バーナーの五徳部分に導体(ヒートパイプ)が若干干渉するようですが、使用に差し障りは無い様です。

(※純正品ではありませんので、自己責任になります。)

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問題点としては、写真でもお分かりになれると思うのですが、集熱部が炎の中心位置と合っていません。そして、バーナーの炎(熱源)と導体(ヒートパイプ)の距離が開き気味です。

 

熱源と集熱部が離れているので、熱伝導効率を上げる方法

以上の事から、冷却するボンベを暖められるのかと疑問が湧きまして、集熱した熱をボンベに伝える接合部分で起こるであろう、熱の伝達損失を改善できないかと分解してみました。

 

パワーインクリーザーを分解してみると構造は単純!

プラスネジ4本でプラ製カバーが簡単に外れます。

分解してみると構造はすごい単純!

ヒートパイプで得た熱を真鍮製?のボンベ密着部分に伝達するだけの構造です。

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インクリーザーの導体(ヒートパイプ)とボンベ加熱プレートの熱伝達部分。

シャフト部分に抜け防止のピンが挿入されています。

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これなら、パソコンで使われるCPUの冷却用のシリコングリスが役立つのではないかと思い…
早速準備します。

で、取り出して来たのがコレ!

パソコン用CPUの冷却用のシリコングリス(銀入りシリコングリス)

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シリコングリスは色々なパッケージがありますよね。普通の白色のでも問題ないとは思いますが、私の場合は普通の白色のが手元に無かったので銀入りシリコングリスを使いました。

バーナーの炎で加熱された導体(ヒートパイプ)の部分と、銅製プレートの接触部分(筒状の内側と導体(ヒートパイプ)部分の接触面)に、導体(ヒートパイプ)の部分を一旦抜き取ってシリコングリスを塗布しました。

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今回、このシャフトを抜くにあたり抜け止めピンを外すべくペンチも用意しましたが、このシャフト、超簡単な知恵の輪みたいにスルッと抜けます。

左右どちらか一方ロック位置まで回し、引き抜くだけ!

ペンチは必要ありませんでした。

上記の写真では判り辛いですが、既にシリコングリス塗布済みの写真です。

ここまで出来たら、今までの逆手順でプラ製カバーを組み立て完成です。

 

ST-310にパワーインクリーザーを装着して着火試験してみた

SOTOST-310にパワーインクリーザーを装着して着火試験。

では、早速試してみます。

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鍋に500cc程度の水を入れてST-310に点火しています。

鍋底に当たった炎が、鍋底に沿って広がっていますね。

その結果、集熱部より若干ボンベ側の導体(ヒートパイプ)に炎が当たっていますね。

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別の角度から見て見ます。

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室温24度でしたが500ccの水が沸騰した時点で、ボンベは風呂の湯(40度)ぐらいには暖まっていました。

これならば真冬の屋外でも普通に売られている、コンビニや100均で販売のCB缶でも使えそうです。

 

本当に効果があるのか実際に効果測定してみよう

その後、11月後半にキャンプ場へ訪れた時(記事参照:伊丹市立野外活動センターへ)に実際に使ってみて、個人的に効果は実感していました。

しかし、文章にすると説得力に欠けるっていうか、記事にパンチが無いですよね。

ならば実際に検証してしまおうではないですか。

 

本当は、気温が3度とか2度とかの氷点下寸前まで気温が落ちてから計測したかったのですが、今年は暖冬なのか気温が中々下がりません。気温が落ちないのは仕方がないし、正月休みでヒマなので計測しちゃいました。

 

ST-310+パワーインクリーザーの効果測定で用意した物

  • SOTOシングルバーナー(ST-310)本体
  • キャプテンスタッグのパワーインクリーザー
  • 新品のノーマルCB缶2本
  • デジタル温度計
  • センサー固定用ビニールテープ
  • 水2L(1L×2)

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条件を合わせるため、室内の同じ場所に2時間前から開封状態で置いておいた新品未使用のCB缶2本。片方はそのまま。もう片方にはパワーインクリーザーをセットします。

計測のポイントは以下の通り。

  • CB缶は2本とも新品を購入。
  • CB缶には混同しないようにマジックで番号を記入。
  • 計測にあたっては、ST-310点火後5分の缶の温度と沸騰までの所要時間を計測。
  • ガスの火力(出力)調節はMAX固定。
  • この日の計測時の気温は11度、風は無風、日当たり無しの環境で計測。

 

ST-310+パワーインクリーザーの効果測定の開始

まずは、パワーインクリーザー無しから。点火前は 23.7度。

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点火直後からCB缶の冷却が始り、CB缶の温度はみるみる落ちて行きます。

点火5分経過。既に缶の温度は 6.8度まで落ちています。

心なしか、火力も弱くなって来ました。

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6分40秒で水1Lが沸騰しました。

この時のCB缶温度は 5.5度まで落ちています。

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そして、次はいよいよキャプテンスタッグのパワーインクリーザー付きです。

CB缶にパワーインクリーザーを取り付けるのに手間取ってしまい、開始温度が21.4度と未装着に比べ 2.3度低くなってしまいました。

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パワーインクリーザー付きの点火直後。

パワーインクリーザー無し同様、点火直後からCB缶の温度はグングン落ちて行きます。

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が、しかし!

一旦は16度台まで温度が落ちたのですが、約1分経った位でCB缶の温度は落ちなくなり、昇点火5分後には、18.5度まで上昇ました。

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5分30秒で水1Lが沸騰しました。

沸騰時のCB缶温度は18.6度。

パワーインクリーザー未装着に比べ、一分強早くお湯が沸いた事になります。

これは効果絶大ですね。

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お湯が沸くまでの時間、お湯が沸いた時のボンベの温度…数値で見ると、パワーインクリーザーの効果が一目瞭然の結果となりました。

その後、直ぐにまたCB缶の温度が上がりました。

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この結果から言えることは、ガス缶の初期温度が20度程度であれば、外気温にもよりますが、真冬でも普通のCB缶の使用が可能ではないかと推測出来ます。

 

パワーインクリーザーは色々なストーブに流用可能!?

因みに、巷で中華製ストーブと言われる中国製の BULIN の BL100 にも取り付けてみました。

こちらは、ボンベとバーナー部がメッシュホースで繋がっている別体型のタイプで、我が家では主にダッチオーブン系の料理に使っています。

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こちらでも、ホースの取り回しを考えれば使用可能ですね。

どうしてもボンベと熱源のバーナー部分が近くなってしまい不安は残りますが…

ボンベの温度を常にチェックしながら使用すれば問題にならないのでは…と考えています。

他にも、イワタニさんのジュニアコンパクトバーナー(CB-JCB)での流用例がWebにもありますから、他にも色々なストーブで流用できる可能性があると思われます。

 

SOTOのST-310+パワーインクリザーの結論

他のCB缶(カセットボンベ)を使うバーナー(ストーブ)を所持していないので試せませんが、このキャプテンスタッグ製パワーインクリーザーは、導体(ヒートパイプ)部分の角度が可動式で動かせますので、色々な機種に流用することが可能だと思われます。

ST-310が全開燃焼時に、パワーインクリーザーがCB缶を温めるまでに要した時間は約1分。つまり、その約1分間の燃焼が可能であれば、その後のドロップダウンは防げる事になります。

CB缶の初期温度がマイナス値では無いことと寒冷地では無いことが前提条件に付きますが、CB缶を使う上で、マイクロレギュレーター内蔵のSOTOST-310+キャプテンスタッグ社のパワーインクリザーは最強の組み合わせではないでしょうか。

低温環境下でCB缶を使用される方は、この組み合わせを検討してみては如何でしょうか?

 

ST-310 & CB-250 製品について

レギュレーターストーブST-310や、パワーインクリーザーCB-250についての詳細につきましては、下記記載のメーカーホームページをご覧頂くか、メーカー側にお問い合わせ下さい。

 

<SOTO製レギュレーターストーブ ST-310>

レギュレーターストーブ ST-310についての詳細情報や、各種オプション類などの紹介をされています。

※ このブランド(SOTO)が凄いのが、次々に発売されているオプション類。マルチケースとか、ウインドスクリーンや、溶岩石プレートなんかもあります。

※ 取扱説明書に誤表記があったようです。 メーカー発表の正誤表はコチラ です。(PDFファイル)

 

<キャプテンスタッグ製パワーインクリーザー>

パワーインクリーザーCB-250についての詳細情報が記載されています。

 

尚、CB缶に充填されているブタンガスの特性については、下記文献を参照下さい。

 

お約束の注意事項

尚、ここに書かせて頂きました使用方法は、上記に記載している各メーカー側が推奨している使い方ではありません。上記に記載させて頂きました使用方法に起因する事故や怪我等が起こりましても、各メーカー側は勿論のこと、当Blog側でも一切の責任を負えません。

各使用者側の判断と責任において、ボンベの過熱事故や火傷等に気を付けてお使い下さい。

そして、皆様が楽しいアウトドアライフをお楽しみ頂けます事を心よりお祈り申し上げます。

 

※ この記事は2015年11月12日と2016年1月2日に旧ブログ( http://cutewings.seesaa.net/ )で公開されたものを加筆修正して掲載しています。

 
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