こんにちは。長女です。
私は普段、看護学校に通う傍ら、病院でアルバイトをしています。
そのアルバイト先の病院で、初めてBBを看護師と一緒に行った時の事です。
- BB(ベッドバスの略)とは、清拭(せいしき)のことで、全身清拭と部分清拭とがある。
入浴・シャワー浴が困難な患者の体を清めるために、お湯・石鹸・タオルなどを用いて汚れを拭き取ること。
患者に清拭を拒否された!
援助を行った患者(以下、A氏)は、初め清拭(せいしき)を行うことに対して顔をしかめ、 看護師が服を脱がそうとすると身体をバタバタ動かして拒否しました。
看護師「Aさーん、今日お風呂の日やったけど入られへんから、きれいに身体拭こうね。」
A氏「いやや、いやや。」
同じ会話が何度か続いた後、A氏「何するの!」
私は・・・「さっきから身体拭こうって言ってるやん。」と、思わず心の中でツッコミ。
看護師も私も「身体をきれいに拭きますよー!」
するとA氏、「ふぅん。」
やっと清拭することを理解してくれたみたいです。けれど、なかなか服は脱がせてはくれません。身体をバタバタ動かして抵抗します。
看護師「身体きれいにするから、服脱がないと。すぐ終わるからね。」
A氏「何のために脱ぐの?」
看護師「身体をきれいにするためよ。一週間お風呂は入れてないでしょ。
身体を拭いてきれいにしないとバイ菌が身体の中に入って病気になっちゃうからよ。」
A氏「またあれか。熱いお湯とかかけるんやろ!」
看護師「そんなことせぇへんよ。温かいタオルで身体ささーっと拭くだけ。」
A氏「んじゃ、はよ終わらせて。」
A氏は、ようやく抵抗をやめて、服を脱がせてくれました。 そこからはA氏の気が変わらないうちに手際よくこなし、終了。
看護師「さっぱりした?」
A氏「・・・(むすっとした表情で横に首を振る)」
看護師と私「・・・(苦笑い)」
A氏のご機嫌はかなり斜めでしたが、事無きを得て私達はA氏の部屋を後にしたのでした。
何故患者は清拭を拒否したのか?
ここで気になったのは、なぜA氏は清拭を拒否したのかということ。
私達が恐怖を抱くのは、「自我が崩壊した」時と言われています。(高校の国語の授業で習いました。)
言い換えれば、「自分の中では理由付けの出来ない得体の知れない物事に遭遇した」時に私達は恐怖を抱くのです。
A氏にとって、清拭の場面は恐らくこれに該当していたのではないでしょうか。
A氏からすれば、急に2人が部屋に入ってきて、何をされるのかも分からず、いきなり服を脱がそうとしてくるのですから堪ったもんじゃありません。 バタバタと身体を動かして出来る限りの抵抗をしてくるわけです。
またA氏には、かつてお風呂に関して嫌~な記憶があるのかもしれません。
熱いお湯をかけられるのではないだろうかと、かなり身構えていたように見えました。
しかし、根気よく何度も説明して理解してもらうと、清拭を行うことを受け入れてもらえました。
清拭を行って学んだ事と、まとめ
今回、援助を行う際に患者が拒否するのには、必ず理由があるのだという事を学びました。
と同時に、その理由を取り除く事が出来れば、受け入れてもらえるという事も学びました。
グループ実習でも、メンバーの1人が受け持ち患者に援助を拒否されて、悔しい思いをしているのを何度か見たことがあります。
実習中の学生と言うのは、援助を拒否されたとき、臆病になりがちです。
「自分のことをあまり好きではないのだ・・・。」と悲観的に考えてしまう学生もいます。
けれど、案外自分の説明が悪かったために患者がその援助について理解できず、 何をされるのかが分からない恐怖で拒否しただけだったのかもしれません。
もし私も同じような状況に陥ったときは、拒否されても落ち込むのではなく、 「どうして患者は拒否するのだろう?」と、その拒否する理由に目を向けて、患者ともっと向き合う事が大切なのだと思いました。
そういえば、食事を下膳(げぜん)したときに、名前プレート(病院食には、誰への食事かを区別するために、各食事に患者名のプレートが貼られている。)に「ごちそうさまでした」と小さな文字が・・・。
患者の方からの心遣いに、なんだか心がほっこりしました。
小さな幸せ^^